精油の研究者2

井上重治(帝京大学医真菌研究センター) 
— 精油の抗菌作用

精油は驚くほど強力な抗菌作用を持っている。
植物にとって精油の抗菌作用は、身の回りの細菌や
ウイルスから身を守る生体防御システムのひとつなのだ。

井上は、精油の抗菌作用の研究に集中的に取り組んでいる、
世界でも類のない研究者だ。

精油の抗菌作用の特徴は抗菌スペクトルが広く、また、揮発
させた場合に最も抗菌力が強い。一方、経皮吸収するため、
皮膚の深部の菌にも有効だ。

さらに、最も注目すべきは抗菌作用のみだけでなく、免疫賦活
作用や消炎作用などの作用を併せもつことだ。

抗生物質が免疫系を低下させてしまうのと対照的であり、また、
炎症部位には必ず雑菌が繁殖していることからも好都合なのだ。

わが国の抗生物質の使用量は世界一であり、乱用がMRSA
(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などを生み、院内感染を
招いて社会問題化している。

井上独自の抗菌アロマの研究はアロマの研究としては「異端」
だが、大きな可能性を秘めている。

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わが国にアロマテラピーが紹介されておよそ25年が過ぎようと
している。統合医療への関心が高まる中で、数あるCAM
(相補代替医療)の中でも人気のあるアロマテラピーは欧米で
着実に広がりをみせており、科学的な研究報告も増加している。

一方、わが国のアロマ研究も活発化しており、初期の鳥居鎮夫
(東邦大学医学部名誉教授)のCNV(随伴性陰性変動)を利用した
香りの心理作用の実証に続いて、ユニークかつアロマテラピー
の普及に貢献する研究が行われている。

(メディアサボール)
グリーンフラスコ株式会社 代表・薬剤師 林 真一郎