ディオスコリデス

古代ローマの医学者ディオスコリデス(Pedanius Dioscorides 
40年頃~90年)は、皇帝ネロ統治下のローマ帝国内で、軍医として
働いた。

ディオスコリデスは全5巻からなる『マテリア・メディカ(薬物誌)』
を、母語であるギリシア語で著した。

『薬物誌』は、薬草図を付記されて1600年頃まで用いられ、
薬草に関する歴史上もっとも影響を与えた書物となった。

デ・マテリア・メディカとは薬の材料についてという意味であるから、
『本草書』と訳すこともできる。

『薬物誌』は何世紀もの間、何度も写本として書き写されたが、
それらの写本にはしばしば注釈が書き加えられたり、アラビアや
インドの文献に由来する若干の増補がなされた。

特にアラビア由来の加筆部分はイスラム圏の薬草学の進歩を反映している。

『マテリア・メディカ』は、中世・近代ヨーロッパ、アラビア世界に
おいて、千数百年もの間、広く利用された古典。